「くまきちルーム」に行ってきた

どうも、阿久津(@kidney0202)です。

およそ一月半の山形滞在を終えて、二日程前に京都へと戻ってきました。途中富山に一泊したのですが、宿も道も、連休を一日外すだけで安いしガラガラでした。交通機関や宿泊施設の混乱や高騰を避けるためにも、もう少し人々の休みが分散される制度とかあればいいんですけどね。でもそれはそれで、春に休めず桜が見られない、秋に休めず紅葉を逃すということがあるのかもしれません。

或いは、行きたい劇、個展、展覧会に足を運べないなんていうことも。そんなわけで今回は、タイトルの通り妻と僕とコロッケの三人で個展に行ってきた内容を記事にします。見てきた個展はくまきちの個展、「くまきちルーム」です。

くまきちって?

くまきちがどれくらいメジャーな存在なのかは僕もよく知らないのですが、向学心に従って調べてみました。くまきちとは雷鳥つめさん(Twitter:‪@raityo_tsume)が生み出している熊の……なんなんでしょうね。妖精なのかなんなのか。とにかくくまの何かです。

ハンドメイドで作られている人形で、斬新なデザインが一部マニアの間で人気を集めているようです。

Twitterアカウントもあります。

くまきちのTwitterアカウントはこちら

他にもYouTubeやInstagramでの活動もされており、ウサギ(うさじ)やカメといった仲間もいます。歌などの動画も上がっており、とにかくこの世界観がシュール極まりないのです。僕がいうのも変な話ですが、よく知らない人からは「怖い」、「不気味」なんていうことも言われているみたいですが、そんなに恐ろしいキャラではありません。動画などを見ても、結構まともなことを言っていて何だかシュールで、ツボになるんですよね。

ボイチェンを使って作者の声を変えてくまきちの声に……なんていう野暮なことは言わないでおきましょう。これはくまきちの声なのです。我が家でもコロッケが喋っているときはコロッケの声だし、ミッキーの中に人はいません。ウルトラマンは3分以上戦っていないし、今は知らないけれど昔のアイドルはトイレに行きませんでした。そういう世界なのです。

ここまでのくまきちに対する無知さから、くまきちの熱狂的なファンは僕ではなく妻であることを、一部の人は察していると思います。くまきちが大阪で個展をやるということが分かったとき、妻は大層喜びました。

それまでも何とかしてくまきちを手に入れようとしては挫折したり、買おうと思っては諦めたりしていたのが、まさかくまきちの方から関西に来てくれるだなんて、これは行くしかないでしょう。作者の雷鳥さんにもお会いできるし、限りあるくまきちが残っているうちにさっさと個展に行こうぜってことで、京都に帰宅した翌日に当たる昨日、まだ疲れも抜けないまま行って参りました。

くまきちの個展「くまきちルーム」に行ってきた

くまきちの個展が開催されているのは大阪にある玉出という駅です。場所にすると西成区と住之江区の間くらいですね。梅田駅まで出て、西梅田まで徒歩で歩いた後、四つ橋線で一本でした。会場は玉出駅から徒歩4分、粉浜という地区にあるopaltimes(大阪市住之江区粉浜1-12-1)さんです。

opaltimes:http://opaltimes.uchidayukki.com/

くまきちの個展は2019年5月3日(金)~5月12日(日)までの13~19時、休みなく開催されています。残念ながらもうすぐ終了してしまうのですが、明日と最終日12日は「くまきちとチェキを撮れるデ-」らしいです。

無料で入れますし駅からも近いので、ファンの方や、不思議な世界観を体験したいという方は是非足を運んでみてください。正直我々はヘロヘロだったこともあって準備不足でした。妻は電車の中で雷鳥さんに手紙を書いて、最寄りのセブンで差し入れを購入していましたが、本当はもう少しバッチリ準備して行きたかったのかなぁ、なんて勝手に思っています。

ただ今日明日、明後日は立て続けに用事があるので、会いに行くなら昨日しかなかったという事情もありましたし、ベストは尽くしたと言えるでしょう。肝心の個展ですが、とても満足だそうです。我々夫婦も二人揃ってクリエイターの端くれなのですが、彼女は今回創作意欲を大変刺激されました。

僕も好きな本や文章、景色に触れたときそういう気持ちになりますが、自分の創作意欲を刺激してくれる存在は何よりも価値があるものだと思っています。そういうものに出会える機会は日常でそれほど多くはありませんし、単純に「明日も頑張ろう」という気持ちにもなれますよね。

どうせ人は百年で死んでしまうのだから、積極的にそういうものを探して、作りたいものを作って、やりたいことをやって、楽しいことを楽しむ。そんなふうに僕自身が考えているからこそ、苦手な遠出を自分から誘えたというのもあります。

仲間をお迎えしました

くまきちの個展にせっかく行ったわけですから、新しい仲間を迎えなければいけません。それなりにくまきちの数は減っていましたが、まだまだ好きな個体を選べるくらいには残っていました。ですが選べるということは悩めるということで、悩めるということは困るということでもあります。贅沢な困惑を抱えた妻は、手汗を抑えながら何分も悩んでいました。

僕はその間ブログ用の写真をのんびり撮影(会場内は撮影自由です)。やっと選んだ妻が抱えていたのがこの子。

 

うさじじゃねえか! そもそもうさじって青いうさぎのことだと僕は認識していたので、これがうさじなのか、うさじ系列の別個体なのかも分かっていませんでしたが、「この子がいい」と妻が言うので文句はありません。こうして無事、21体目の仲間が我が家に加わりましたが、いい加減家のスペースを圧迫しているので、そろそろフライングタイガーでぬいぐるみ用のテントを買おうと思います。不思議なくまきちワールドを、皆さんも覗いてみてください。

芸術と消費者の間に存在する認識の齟齬

ユーチューバー的な見出しから、突然論文風に切り替わってしまいました。「くまきちルーム」ではくまきちやカメ、妻がお迎えしたうさじなど、実際のぬいぐるみを購入することが可能です。普段僕はクレジットカードを妻に渡しているので、自分がレジで精算をすることは少なく、今回も会計は妻が済ませました。それ故に物の値段もあまり知りません。

それはモノの価格や平均的な価値を知らないという意味合いではなく、単純に「阿久津家で買われているモノの総額をよく知らない」ということです。ですが今回は事前にくまきちの値段を知っていましたし、個展会場にも商品の価格が分かりやすく提示されていたので、何がどれくらいで売られているのか、大体把握しています。

それを見ると、別のクリエイターや同人活動者の販売しているものの値段よりも高い設定かな? と何となく思いました。実際の価格差は知らないのですが……でも、「くまきちルーム」の価格設定はとてもいいなぁと思ったのです。あえて大袈裟な括りにするなら、日本ではあまり見ない強気な、それでいて適正な価格だとも感じました。

・「こんな小さい人形で3000円以上するのか」

・「原価を考えたらもっと安く作れる」

・「ぼったくりだろう」

そう感じる人もいるかもしれませんが、そう思うなら買わなければいい話で、感じたことをわざわざ口に出すような真似はしなくてもいいんです。ぼったくりかはその人の感覚で、個人個人の感覚に合わせていたら値段なんて一生設定できないし、原価を持ち出すなら「労力」や「情熱」、「愛情」の原価とやらも算出しないとアンフェアなんです。「なら自分で作れ」って話ですしね。

大阪まで足を伸ばして個展を開くことも、一つひとつの作品を手作業で作り上げることも、丹精を込めて創り上げた作品をお金に変えることも簡単ではありません。僕も自分で書いた書籍や文章作品をお金に変えるとき、遠くない気持ちを覚えるのでその一端は理解できるつもりです。

何よりお金がなければ、お金にならなければ芸術なんて生み出せないし継続もできないんです。そういう認識が日本人は極めて低い傾向があると思いますし、それを不必要に発信する悪癖を持ち合わせています。気に入らないなら触れなければいいし、自分と違うならそれを認めればいいだけのことで、攻撃する必要なんてないんです。まして、匿名性を利用して安全圏から石を投げるなんて言語道断です。

僕はくまきちについては無知ですし、雷鳥さんが上記のような発言を実際に受けているかもよく知らないのですが、少なくとも彼女が自分らしく生きているということは分かりましたし、ファンと良い関係性を築けていることも感じることができました。そしてそれが分かったということが、僕にとっては一番の収穫でした。

全てのクリエイター・芸術家は市場に、個人に、悪意に膝を折られない生き方をしていきましょう。

よしなに。